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2024.10.17

下町の路地

少々分かりづらいかもしれないが、写真は高齢者が路地に椅子を出し新聞を読んでいる様子である。昭和40年代までは路地が私的に使われていた。竹製の長椅子で談笑する大人たちや、蝋石と言われる筆記具で道に絵を描いて遊ぶ子供たちがいた。その後、自動車の普及により路地で遊ぶことに危険を伴うようになる。そして街中に公園が次々と整備されていった。「ここで遊びなさい」という命令に子供たちは渋々従った。僕もそのひとりである。確かに公園では自動車の心配なく遊ぶことができるが、自分たちが決めた遊び場、あるいは集合場所がありそれは公園という枠では収まりきらないものであった。いい時代だったとは言わないが、町の商店街を歩けば大人たちが声をかけてくれたり、お使いに行けばお菓子をもらえた。大人も子供も高齢者も、その町に住んでいる人たちがその町の空間を共有しているという想いがあったように思う。だからなのか、子供時代に他人の庭を抜けて遊びに行くこともしばしばだった。ただし、口うるさい家には決して寄り付かなかった。子供たちはそんな情報も共有していた。