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2024.09.09

T字路突き当たりの風景

台東区の下谷、根岸あたりは関東大震災や第二次大戦後の区画整理から外されていたと思うほど、不思議な道が多い。Googleマップを見ても、グチャグチャであることが分かる。都心の整理された道であればどこに辿り着くかはなんとなく想像できても、ここではそうはいかないことも多い。だが、それはそれで楽しい。国土交通省は「ウォーカブルなまちづくり」を推進しているが、それは街路を賑わいや憩いの場所としてその使い方や整備などに重点が置かれている。それはそれでいい取り組みであるが、下町の路地は単純に「街歩き」の楽しさがある。玄関前にたくさんの鉢を置いたいわゆる「下町園芸」や地域猫との遭遇、道にチョークで書かれた子供たちの落書きなど “日常の非日常” が楽しめる。T字路突き当たりの風景もそのひとつだ。ちょっと近くまで行ってみようかなと思わせる風景に出会うとちょっと心躍る。まだまだ味のある建物が残っているが、いずれマンションに建てけられる前に写真に収めたいと思った。まだまだ暑い日が続きそうではあるが、少し秋めいてきたら鶯谷〜下谷〜根岸界隈の散歩は一考の価値があると思った。